駄菓子屋じいちゃんエビス

第25話 繋がり作り

※この小説にはプロモーションが含まれています。

駄菓子屋エビスのチラシのデザインは明日以降に持ち越しとなりそれが宿題となった。
その宿題は社会の授業で扱うことになり生徒同士で意見を出し合うことになる。
桜林小学校3年1組の翔吉は現在その宿題に父と一緒に取り組み
駄菓子屋エビスのチラシを考えているのだが父がある提案を思いつく。
それがエビスじいちゃんの似顔絵である。


翔吉の父「翔吉、似顔絵を描くのはどうだ?」
翔吉「え~似顔絵?俺絵描くの苦手だよ~」
翔吉の父「上手に絵を描くよりも気持ちを込めて描けば思いは伝わるってもんだろ」
大事なことを言ってくれた翔吉の父。
絵を描くのに自信がない翔吉にその教えは勇気づけでくれるかもしれない。
図工ではなく社会の授業でそれを扱うので少なくとも絵に対する上手いか下手かという単純な評価はしないはずだ。
むしろ翔吉の父(本多)とエビスじいちゃんは「オリーブ」で共に販売業界の前線で戦ってきた経歴があり
深い繋がりあるから翔吉にも縁があり、それならではアイデアなのである。
エビスじいちゃんの顔をよく知る翔吉なら似顔絵が打って付けだ。
翔吉「それしかないかな…」
他の案がなければ似顔絵でいくしかない。
翔吉含め3年1組は五人しかいないため多分被ることはないはずだ。
和河也と日葵はアニメや動物のキャラクターを描くと言っていて
慎吾と楓についてはわからないが2、3回しか会っていないため
鮮明にエビスじいちゃんの顔を覚えていないはずだから似顔絵は描くことはないはずだ。
こちらにはエビスじいちゃんの顔が写った写真を父が写真で持っている。
絵は苦手でも見ながらであればそれなりの絵が描ける。
父が見せてくれた写真のエビスじいちゃんの表情は愛嬌がある笑顔で良いチョイスだ。
70歳ぐらいでほぼ白髪だがふんわりとしたボリュームがある。
深い目尻のしわと優しく微笑む口元が「オリーブ」で星川店長として親しまれてきたのがわかる。
試しに顔の輪郭を描いてみる翔吉。
しかしなんだが卵のような形になって顔の輪郭を描くにしては顎が広くて頭が小さくなってしまっている。
翔吉の父「おいおい、ちゃんと描いているのか?」
翔吉「うっ、見ながら描くのも難しいね」
すぐに消しゴムで消してやり直した。
見ながら描くのも案外難しくどこから描けばいいのかわからなくなる。
翔吉の母「まずは特徴を掴んで、髪の毛の方から描いてみれば?」
母も介入してきて翔吉のエビスじいちゃんの似顔絵作りにアドバイスする。
翔吉「うん、髪の方から描いてみる」
母のアドバイスを聞きながらスマホの写真を交互に見ながらエビスじいちゃんの髪を描いていく。
翔吉「エビスじいちゃんの髪は白いから描く意味ないんじゃないかな?」
下書きで描いていると思われるが翔吉はまず鉛筆で描いてその後で色を塗るつもりなのだろう。
白紙のコピー用紙で描いているためエビスじいちゃんの白髪の部分を白で塗るかは悩ましいところだ。
翔吉の父「色を塗るんだったら髪の色はグレーにすればいいんじゃない?」
翔吉「ああ!それでいいかな…」
エビスじいちゃんの白髪は黒と白の中間のグレーで塗るのはありで鉛筆の黒染みも活用できそうだ。
多分翔吉は似顔絵を描くのは難しいから諦める方向に持っていきたかっただろうが
父によって結局その流れにはならなかった。
全体的な構図だが駄菓子屋エビスのタイトルはそのままに
月額会員やその内容、営業時間といった事業内容にあたる文章は父が添削し短くまとめ「オリーブ」現役店員として洗練させていく。
そしてその下にエビスじいちゃんの似顔絵を載せる。
文章を短くまとめた分余白ができたのでより大きくエビスじいちゃんの似顔絵が描ける。
エビスじいちゃんの似顔絵を描くのに苦戦する翔吉だがきっと気持ちがこもった絵に仕上がるはずだ。
時間を少し戻し日野家では日葵が夕飯を作っていた。
日葵の母は理貴や翔吉の父(本多)と同じくオリーブで働いてシフトは中でちょうど今帰ってきたところである。
日葵「おかえり、お母さん料理できているよ」
日葵の母「いつもごめんね日葵」
食卓に料理を置いて母と二人で食事をする。
日葵の母がAOZORAの「オリーブ」で働いていることから日葵も翔吉と同じようにエビスじいちゃんと繋がりができそうである。
初めて駄菓子屋に楓と行った時、妻の恵美須の思いに惹かれ店内のお菓子を買い尽くし
大人顔負けの衝動買いをしてエビスじいちゃんを驚かせたが日葵自身が引っ込み思案な性格。
他の人の意見や話を優先してあまり自分のことを話さないため、まだ日葵が母のことをエビスじいちゃんに話せていない。
楓たちが日葵の母が「オリーブ」で働いていることを知っているためできれば話してほしいがやはり日葵自ら言うべきである。
日野という苗字の人が「オリーブ」の従業員にいることは理貴も知っているが
子どもがいてその子が桜林小学校の生徒であるかもわからずじまいなのだ。
仕事を通じて日葵の母もエビスじいちゃんこと星川店長のことを知っているのだが
関係性が薄いのは仕事の役割に違いがあるからである。
理貴は商品の販売を担当する方にいて反対に日葵の母は弁当やお惣菜を調理する方を担当しているからである。
ミーティングや会議などもあり会う機会はあるはずだが担当部署が違うと同じ職場でも話す機会はあまりないのである。
本田親子のように深い関係を築きたいと思っているがそれが難しい事情が他にもあって
日葵の父が3年前に他界していて母が女手一つで日葵の世話をしているのである。
つまり「オリーブ」の仕事で精一杯なのである。
なのでこうして母の負担を軽減させるため日葵が家事をして手伝っているのである。
初めて駄菓子屋エビスに行った時に買ったお菓子はまだかなり残っているが
当時、大量のお菓子を買い込んだ日葵に母は驚いてしまった。
事情を話しさらに翔吉の話を通じて駄菓子屋のエビスじいちゃんが星川店長であることを知り母も協力したいと言っている。
日葵の母「人気がないお惣菜をごり押して売ってくれたり」
日葵の母「厨房の方に顔を出して元気づけてくれたり」
日葵の母「いろいろ星川店長にはお世話になっているからね。」
そういうことなので母も協力したいのである。
明日の社会の授業でチラシのデザインを出し合う時、日葵の番が回ってきたら母も「オリーブ」で働いていることを伝え
エビスじいちゃんとの距離を縮めていきたいところである。
そんな日葵が考えるデザインは帰りで言っていた通り可愛い動物の絵を描くそうである。
どんな可愛い動物を描くのかは明日の社会の授業で明かされる。




そしてその時が訪れ社会の授業が始まりみんなでチラシのデザイン案を一人ずつ発表することになった。
丹下先生の授業の進行と段取りを見るに駄菓子屋エビスに行く前から準備をしていて
授業でそれを扱うつもりだったのかもしれない。
校外学習は何にするか悩んでいた節があったので打ってつけのネタになったのだろう。
また翔吉たちの話を聞いて学校の先生の立場から協力したいと思ったのだろう。
生徒たちが主体的に活動する点においても今回の課題は的を射ている。
丹下先生は教卓に手を置いて翔吉たち五人を右から左へと見つめながら誰から発表するか決める。
改めて3年1組の席順だが廊下側から和河也、日葵、慎吾、楓、翔吉となる。
丹下先生「じゃあ廊下側の方から和河也君から発表をお願いします。」
和河也「はい!」
翔吉(俺が最後かよ~)
まさかの翔吉が最後となる。
みんなよりあまり乗り気ではない翔吉だが、翔吉の父はエビスじいちゃんと深い関わりがあるため
おそらく父の力も借りていると思われるので彼の案を期待してだから最後にしたのだ。
たまたま翔吉の席が窓側だったため、廊下側からの順番にしたが
そうではなくてもきっと翔吉を最後にする気だったはずだ。
社会の授業で発表するまでそれぞれお互いどんなチラシのデザインにしたのか見せておらず
ネタバレしないと約束していたため完全初見なのである。
和河也「僕が考えたのはこれです」
丹下先生「お!猫の絵を描いてきてくれたね!」
楓「これってアニメの商売招きニャンコのコバンじゃない?」
和河也「そうだよ」
やはり和河也の考えてきたのはアニメのキャラクターのイラストである。
その和河也が描いたアニメのキャラクターは「商売招きニャンコ」のキャラクターの「コバン」という。
人を招くために置かれたあの招き猫をモデルしたキャラクターで
「コバン」は面白くてユニークな商品を売っていて、その商品には不思議な力が宿っていて
それを巡ってストーリーが展開されるアニメなのである。
駄菓子屋エビスのイメージにぴったりに見えるが
丹下先生はそのアニメを知らないが「コバン」というキャラクターを見て眉をひそめる。
丹下先生「なんか…表情がな~」
いまいち丹下先生の反応が良くないのだが和河也が描いた「コバン」の表情が
自慢気なしたり顔で俗にいうドヤ顔をしているのだが何か裏があるような怪しい顔をしている。
そんな絵を再現しているのは評価できるが駄菓子屋エビスのイメージに合うのだろうか。
和河也「コバンはいつもこんな顔をしていますよ」
「コバン」は口がうまくズル賢く変な商品を客に高値で売って悪徳商売をしていて、
先ほど「コバン」の商品には不思議な力が宿っていると説明したがその力によって問題を引き起こすということなのである。
丹下先生「とても面白いアイデアですが店長のイメージとかけ離れている感じですね。」
商売上手なところはエビスじいちゃんと似ているがやっていることは真逆なのでイメージとしては合わなさそうである。
丹下先生「和河也君のは猫の表情を優しくして笑顔の招き猫にするのがいいかもしれませんね」
和河也の発想は認めつつも一旦保留となった。
次は日葵の番である。
丹下先生「次は日葵ちゃんの番ですね。お願いします」
日葵「はい!」
日葵「和河也ち被っちゃうけど、私の考えたのはこれです!」
楓「ううん!全然!!可愛いじゃない!!」
丹下先生「うん!これはいいね!」
日葵の描いたのは動物の絵で和河也の描いた「コバン」という猫のキャラクターと被ってしまう部分はあるが丹下先生の反応はいいほうである。
右上、右下、左上、左下の余白にひょこっと登場するような感じで犬、猫、うさぎ、熊を可愛らしく描いてある。
とても日葵らしい仕上がりである。
そして日葵はようやくあのことについて口にした。
日葵「えっと実は私のお母さんもエビスじいちゃんと同じオリーブで働いているの」
楓「そうだったわね、日葵のお母さん」
翔吉「父ちゃんから聞いてるけどお弁当作ってるんだって?」
日葵「うん…」
日葵「まだ言えてなかったから…お母さんもエビスじいちゃんにお世話になってるから協力したいって…」
丹下先生「はい…そうですね」
丹下先生は深く頷いている。
日野家の家庭内事情は家庭訪問などを通じて知っているため
丹下先生は教員として日葵には駄菓子屋エビスを憩いの場以上の心のよりどころにできるように
みんなで協力していきたいと思っている。
日野親子にも注目してもらえるように丹下先生も手助けしてエビスじいちゃんと話を進めていきたい。
まずはみんなで納得できるチラシのデザインに仕上げるべきだ。
丹下先生「次は慎吾君、お願いします。」
慎吾「はい!」
慎吾「この駄菓子屋エビスのタイトルのところを意識してみました。」
丹下先生「なるほど虹のラインで…うん統一感があっていいんじゃない!」
慎吾のデザイン案も好評である。
慎吾の案はシンプルで駄菓子屋エビスの虹色の配色のデザインを基に
虹の見出し線で文章はそのままに事業内容と営業時間を分けた構成となっている。
慎吾も翔吉と同じで絵を描くのは自信がないようだが絵やイラストを付け足す以外のアイデアを出してくれた。
字ばかりのまるで報告書みたいな厳かなチラシが虹の見出し線を引いて彩を付け加えることでより魅力的になった。
丹下先生「次は楓ちゃんだね。お願いします」
楓「はい!」
次は楓の発表である。
楓「私の考えたデザインはこれです」
日葵「お菓子の絵だね!」
楓「やっぱり駄菓子屋だからお菓子の絵を入れるのが一番でしょ!」
丹下先生「うん!いいね!」
楓はお菓子の絵を描いたようでタイトルの駄菓子屋エビスのビの飴玉に見立てた濁点から着想を得たそうだ。
また日葵が動物の絵を描くことを知っていたためそれと被らないための配慮もあったそうである。
板チョコのイラスト、ポテトチップスのイラスト、そして缶ジュースのイラストが描かれている。
いかにもお菓子が売っている駄菓子屋らしいデザインの仕上がりで、
缶ジュースが描かれていることで飲み物も売っていることがよくわかる。




和河也、日葵、慎吾、楓の四人が考えたデザインはとても素晴らしいものであり
それぞれの良いところを足し合わせてより良いものにしていきたい。
しかし忘れていけないのが一人いる。
丹下先生「さあ翔吉君、お願いします!」
翔吉「はい…」
ついに翔吉の出番がやってきたのである。
みんなの視線が翔吉に集まる。
翔吉「いやいや見ないでよ…そんなに期待しなくてそんな大したもんじゃないよ…」
和河也「またまたそんなこと言っちゃって~」
丹下先生「ふふ…期待してるよ~」
期待されているようであるが恥ずかしながら発表する翔吉。
翔吉「えっと…俺の考えたデザインはどうかな?」
丹下先生「おー!これって店長!?」
慎吾「エビスじいちゃんじゃん!」
翔吉がエビスじいちゃんの似顔絵を描いてきたことにみんなは驚いている。
みんなは翔吉がどんなものを考えてきたのが期待していたがその期待を裏切らない予想以上のものを出してくれた。
楓「え?これどうやって描いたの?」
翔吉「俺の父ちゃんがスマホでエビスじいちゃんの写真を見せてくれたんだ」
翔吉「実は何も浮かばなかったから、父ちゃんに相談したら似顔絵にすれば?って言われて」
翔吉「結構難しかったけど」
鉛筆で描いてから色を塗っているようだが鉛筆で描いては消して、その黒い染みや汚れが残っていおり
エビスじいちゃんの似顔絵を描くのが翔吉にとっていかに難しかったのがわかる。
エビスじいちゃんの顔のしわやほりなど忠実に再現していて絵を描くのが苦手な翔吉としてはよく頑張っている。
絵を描くのが得意な和河也も翔吉のエビスじいちゃんの似顔絵に一目置いている。
和河也「これはすごいね…ショウの描いたエビスじいちゃん!」
父の仕事の関係でよりエビスじいちゃんと繋がりがある翔吉ならではのデザインに仕上がっている。
日葵(なるほど…似顔絵もあったか…)
日葵(お母さんもエビスじいちゃんの写真持っているかな?)
ここでも日葵は翔吉との差を感じてしまっているようだ。
丹下先生「似顔絵もすごいけど、事業内容の方も簡潔にまとめられていて読みやすいね」
翔吉「あ、そこは父ちゃんが…」
親のアイデアを貰ってはいるが翔吉のはみんなより頭一つ抜けている印象だ。
翔吉本人が言っているが翔吉の父に文章の添削をしてもらっている。
この文章の添削し短くまとめたのはエビスじいちゃんの似顔絵を描くための余白を確保するためだったと考えられる。
文章が短くなってもしっかり内容が頭に入ってくる。
昨日エビスじいちゃんから話を聞いてもらっているので事前にその事業内容は知っているが
初見でもわかりやすい構成となっており何よりもエビスじいちゃんの似顔絵が親しみやすい。
「オリーブ」で販売業をしている翔吉の父のプロの思考を感じられた。
丹下先生(う~んどうしようかな~)
丹下先生は五人の考えたデザインを教卓に置いてどちらを選ぶか悩んでいた。
正直、エビスじいちゃんの似顔絵を頑張って描いた翔吉に花を持たせたいが日葵の気持ちを察したい。
しかし翔吉の努力もみんなの努力も無駄にはしたくない。
丹下先生「みんなはどれがいい?」
とりあえず丹下先生はみんなの意見を聞くことにした。
日葵「翔吉のほうがいいと思います。」
神妙な面持ちでそういう日葵。
楓「日葵…」
慎吾「ショウのエビスじいちゃんの似顔絵はインパクトがあるからな」
丹下先生「正直、私も翔吉君の方がいいかなって…」
翔吉「え!?マジっすか!?」
どれも素晴らしいデザインだが翔吉のエビスじいちゃんの似顔絵に軍配が上がりそうで
評価を加点方式で考えた場合、翔吉の父の添削が大きな加点となっている。
全員真っ白な白紙のA4用紙で1から作ったと思われるが虹の配色のタイトルはみんな同じだが
翔吉以外は事業内容の文章はそのままにして文字サイズは少し小さめにして余白を確保して
自分のアイデアを付け足すようにしている。
翔吉の差を認めている日葵。
ここは涙を呑んで次に活かすのもありなのかもしれない。
しかし追加で宿題として与えた丹下先生にも責任がある。
丹下先生「よし!だったらみんなが出したいいところを全部付け足してみよう!」
翔吉の案をみんな納得している様子だがみんなが出したいいところを付け足してみんなの成果物として仕上げていきたい。
楓「それいいかもしれませんね」
翔吉「うん!賛成!賛成!」
駄菓子屋エビスのチラシのデザインは全員一致でみんなのアイデアを付け足すことに決めた。
まずは外せないのが翔吉が描いたエビスじいちゃんの似顔絵だ。
右下にエビスじいちゃんの似顔絵を描いてその隣に
その隣に(左下)和河也と日葵の動物案を入れて招き猫を描き、楓のお菓子の案を入れて
招き猫の招いている手の反対に缶ジュースを持ってその周りにお菓子を描く。
翔吉の父が添削して短くまとめた文章を使い、慎吾の虹の見出し線を引いてこれで完璧である。
後は実際に描く人を決める。
すでに丹下先生は誰に完成形のチラシを描かせるか決まっている。
丹下先生「日葵ちゃんに描いてもらおうと思うけどいいかな?」
日葵「はい!私が描きます!」
丹下先生「ありがとうございます」
日葵は喜んで引き受ける。
エビスじいちゃんに近づきたい日葵には適任である。
みんなの思いを乗せて完璧に仕上げてほしい。
丹下先生「私が話をして日葵ちゃんが描いたことを伝えるよ」
楓「うん!これで日葵のことや日葵のお母さんのことをエビスじいちゃんに話せるね」
日葵「丹下先生ありがとうございます!」
チラシを描くのを日葵に任せる意図はエビスじいちゃんの距離を縮めることであり話せる機会を作るためである。
さて日葵はいいとして、他のみんなは何をするのか。
丹下先生「みんなはこれをやってもらいます」
丹下先生はあるプリントを出して日葵を含めそれぞれ渡した。
翔吉「ん?これって?」
丹下先生「みんなの苦手を克服するために私が特別にプリントを作りました。」
学習進捗や成績を見て生徒がどこが苦手なのかチェックして丹下先生が独自に作成したプリントなので
生徒それぞれ内容が違うものになっている。
人数が五人しかいないため学習状況が把握しやすくこのように翔吉たちの苦手を克服するための学習カリキュラムも構築しているのだ。
丹下先生「ではこれを宿題の代わりにします。」
丹下先生「このプリントを終えたら自習にして、その後の6時間目の授業も自習にします。」
現在5時間目の社会の授業が行われているのだが
今回はエビスじいちゃんの駄菓子屋エビスのチラシのデザインを考える回にして
余った時間は苦手克服に充てるそんな時間にしたようである。
そのプリントは宿題にするそうで、昨日の駄菓子屋エビスのチラシのデザインを追加で宿題にしたため
今日はその免除という意味合いなのだろう。
6時間目の授業は図工なのだが継続して苦手克服の学習時間にそしてそれが終わったら自習とした。
それもこれも日葵のために時間を確保して気持ちが込められたチラシを作ってほしいからである。
日葵も和河也と同じく絵を描くのが好きなのできっと素敵なものに仕上がるはずだ。
日葵「出来上がりました!」
6時間目の授業の後半くらいまで時間がかかったようで日葵がチラシを完成させた。
日葵は完成したチラシを丹下先生に見せた。
丹下先生「うん!とてもいいね!」
楓「素敵!これならエビスじいちゃんも喜んでくれるよ!」
気持ちを込めて日葵が作成した駄菓子屋エビスのチラシは楓が言う通りきっとエビスのじいちゃんも喜んでくれるはずだ。




この完成したチラシをエビスじいちゃんに見せるのが待ち遠しい。
放課後の時間になり完成したチラシが風などで傷つかないようクリアホルダーに収めて駄菓子屋エビスまで日葵が持っていく。
3年1組生徒と担任の丹下先生は駄菓子屋エビスに向かう。
これで日葵と楓も駄菓子屋エビスに来店するのは3度目になる。
楓「日葵、いよいよだね」
日葵「うん!」
店内に入った日葵たち。
日葵「え?」
店内にいるのはエビスじいちゃんではなく若い男性である。
楓「え?誰?エビスじいちゃん??」
エビスじいちゃんは若返りでもしたのか日葵たちは困惑している。
理貴「いらっしゃいませ!」
翔吉「あの~もしかして理貴さんですか?」
理貴「うんそうだよ、君が翔吉君だね」
なんと店内にいたのはエビスじいちゃんではなく息子の理貴だった。
いったいこれはどういうことなのだろうか。

続く

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