ジュンコチャン

第65話 運動会本番の日

※この小説にはプロモーションが含まれています。

10月1日水戸東小学校で運動会の本番の日が訪れる。
何度言っても6年生の幸助たちはこれが最後の運動会になる。
6年生のみならず全生徒のための運動会であり、競技を通して全員が活躍できる場が設けられている。
だから運動会ではPTAや保護者が、生徒たちはもちろん自分たちの子の
雄姿を見届けるため学校へ見に来てくれるのだ。
そういうことで幸助の家族こと兼岩家も見に来てくれるのだ。
幸助の父は有給休暇を使ってわざわざ来てくれるそうで
幸助自身は恥ずかしいから来ないで欲し言いたいのだが
毎年このような感じで、さらにこれが最後ともあってやっぱり猶更言うことができない。
幸助「もうこの日が来ちまったか…」
そう嘆くも時間は待ってくれない。
幸助の父「いよいよだな幸助」
さらに父は幸助の事情も知っているため家族からのプレッシャーものしかかる。
幸助の父「いたずらばかりしていた幸助が今じゃチームを背負って立つ男に成長してくれて」
幸助の父「今回の運動会は楽しみだな!」
息子の成長を嬉しく思っている父。
幸助の悪行といういたずらは学校だけでなく家の中まで及び
高学年になるにつれて家の中でのいたずらはしなくなったが
印象的だったのが父の仕事の大事な書類に落書きしたことだ。
どんな落書きをしたかだが、とぐろ型のうんちであり
まさに子どもが書くような稚拙的な絵であった。
しかも油性ペンで書いたのでたちが悪い。
仕事についてはなんとかなったが幸助にいっぱつ拳骨を与えたそうである。
しかし今、こうして成長していく姿の幸助を見て父の拳は温かくなる。
写真で収めながらも、父親として息子の活躍をまばたき禁止で応援したいという気持ちだ。
母は幸助が運動会で頑張れるようにお昼は幸助の好物である生姜焼きを作ってくれるそうだ。
運動会は午前中いっぱいで終わるため弁当は持参せず兼岩家は家でゆっくり昼を過ごすそうである。
母の手料理も本番の運動会に向けて頑張る原動力の1つだが
幸助にはモチベーションを向上させる真の原動力がある。
幸助「ねえ父ちゃん、運動会頑張ったらご褒美くれるんだよね?」
幸助の父「はあ~やれやれ、それはお前の頑張り次第だな」
ご褒美目当てで頑張る幸助の姿は親からしてみればまだまだ子どもだ。
幸助の父「でもな…う~ん…」
事前に話を聞いて了承した父だがご褒美を目標に頑張る幸助に首を傾げてしまうものがある。
どこか腑に落ちず頑張るだけでご褒美をあげてよいものか父は少し悩む。
幸助の父「お前がリーダーやるって言ってたし」
幸助の父「だったら優勝が前提だな!」
幸助「ええ!?優勝!?」
幸助のご褒美は優勝を前提にすると父は言う。
それを聞いた幸助は慌てるように困惑する。
「男に二言わない」を座右の銘とする父、だから優勝できなかった場合はご褒美なしとされてしまう。
過去にテストで100点を取ると父に約束したことがあるが
幸助は惜しくもテスト結果は95点でありあと5点で惜しかったが
普通ならその頑張りに免じてご褒美を買ってあげる流れになることもあるが
幸助の父は容赦なくご褒美をなしとしたのである。
もしかすると幸助が素直になれなかったり頑張ることに抵抗があるようになったのはこれが原因なのかもしれない。
しかしテストで100点取ると約束したのは幸助なのだが。
果たして幸助率いる3組チームが優勝できるかどうかだが
相対する1組チームと2組チームは一筋縄ではいかない強敵だ。
得点の優劣で勝敗が決する運動会ではどの競技も落とすわけにはいかない。
リーダーの手腕が問われる場面が団体競技で訪れそうだ。
幸助の父「優勝するしかないな幸助」
幸助「マジかよ~」
幸助の母「あんたの大好きな生姜焼き作るから頑張りなさい!」
幸助「母ちゃんが生姜焼き作ってくれるのに!?」
幸助の父「それとこれとは別だ!」
父の言葉からご褒美が決定事項になってしまった。
お昼ごはん幸助の好物の生姜焼きだが、これは優勝や結果の良し悪しに関わらず頑張ったご褒美としている。
さらにお野菜たっぷりで千切りキャベツも添えられる。
最低保障ということのなのだろうが幸助は食べ盛りで
これからも成長していくので食べることだけはしっかり施しを与え、
家族として幸助にひもじい思いをさせてしまうのはいけないのだ。
前日のリーダーをやることを決めた日の放課後の帰り道、
1年生の順子ちゃんのご褒美の件から幸助自身もご褒美をもらって本番を臨もうとしているが
家庭事情は十人十色、そう上手くはいかない。
優勝を目指すしかほかないなのである。
幸助「はあ~いってきま~す」
溜息をして落胆するように幸助は玄関で靴を履き家を出て学校へ向かった。
幸助の父「頑張れよ幸助!」
学校へ向かう幸助の背中から諦めという文字が浮かんでいるようだが
まだご褒美が貰えないと決まったわけではない。
気を引き締めて本番に臨むべきである。
一方で順子ちゃん、彼女は台風の目で幸助のペアになる1年生であり
今年の運動会で旋風を巻き起こす存在。
そんな順子ちゃんもご褒美目当てで頑張ろうとしている。
順子ちゃんが欲しい物はGVD(ゲーム機)2台目である。
優勝前提の幸助とは違い、順子ちゃんの方は条件が緩く
頑張りしだいではあるがご褒美ゲットがしやすい。
現在、宮沢家では弟の保志とGVDの取り合いが絶えない。
怪我の恐れもあり、姉と弟の喧嘩は見るに堪えない。
仕方なく運動会のご褒美という形でゲーム機2台目を買ってあげることになったのだ。
順子ちゃんの父の広武は、ご褒美をあげるのだから娘のチームが優勝して
せめてもの活躍や最高の思い出だけでも記録してほしいと願っている。
しかしご褒美をあげてしまうと毎年運動会の日が訪れるたびに
ご褒美を強請ってくるのではないかと広武と母の幸は懸念している。
さらには保志も小学生になったら姉に影響されご褒美を強請ってくる可能性も否定できない。
順子ちゃんから溢れ出るオーラとやる気にはこれから始まる運動会の熱い思いが込められている。
「今回だけだぞ」っと言いたい広武だが下手に娘の機嫌を損ねてモチベーションを下げたくない。
玄関で靴を履き外へ出て小学校に向かう順子ちゃんに保志は手を振って見送る。
保志「頑張ってね!お姉ちゃん!後で応援行くから!」
無邪気に姉を応援する保志だがGVD2台目への期待が込められている。
順子ちゃん「任せなさい!」
順子ちゃん「私のカッコいいとこ保志に見せてやるわよ!」
順子ちゃんのやる気は十分、意気込みも弟に伝え、
小学校に向かっていく順子ちゃんの姿はどんどん遠くなっていくにつれて小さくなっていく。
この後宮沢家も支度を済ませたら応援しに学校へ向かう。
広武と幸は顔を合わせて複雑な表情を浮かべる。
広武「GVDをもう1つ買うとして、来年も怪しい予感がするんだよね~」
幸「保志も小学生になったら来年は大変なことになりそうね…」
順子ちゃんが競技中に「GVDー!」と叫ばないか心配する父と母である。



水戸東小学校に到着した順子ちゃんは1年3組教室に入り友達やクラスの様子を確認する。
運動会の開会式は午前8時30分である。
先生たちの指示が来るまで教室で待機だ。
友ちゃん「いよいよだね順子ちゃん」
良樹「お前が問題を起こさないか心配だな」
大玉転がしで順子ちゃんと一緒に大玉を転がすペアの友ちゃんと良樹、
最初の練習の時、順子ちゃんの大玉を蹴って変な方向に転がしそれで終わらず他のチームに迷惑をかけてしまう出来事があった。
また同じようなことが起きないかこの前のトラウマを友ちゃんと良樹は抱えている。
牛久先生の説教と清水先生の居残り反省文を書いた後、
この本番の日までの練習は比較的大人しかったがそれでも警戒の色は消えない。
本番では何が起きるかわからないこともあって落ち着いていられない。
身体能力的にポテンシャルを秘めている順子ちゃんはチームの戦力となるが諸刃の剣でもある。
順子ちゃんはご褒美目当てで頑張ることは友ちゃんと良樹のみならずドッチボール大会の件からクラスメイト全員知っている。
親が見に来るのでご褒美が貰えるようにするためにも嘘偽りなく活躍する姿を見せなければいけない。
しかし活躍というのは勝つことでも目立つことはではない。
いかに運動会の競技に頑張って取り組んだのかである。
今の順子ちゃんからは勝ちにこだわりそうな気概でチームの優勝を一番に考えているようだ。
せめて大玉転がしだけはルールを守って大玉を蹴らずに手で押して次の走者に問題なく渡すまでやってくれることを願う。
友ちゃんも良樹も順子ちゃんに振り回さるような恥ずかしい姿を両親に見せたくはない。
だがそれと同時に順子ちゃんも家族に問題を起こすような悪目立ちはしたくないと思われるので
ある程度自制心をコントロールするはずだ。
順子ちゃん「大丈夫よ!良樹」
大丈夫と順子ちゃんは言っているので問題は起こさないということなのだろうか。
友ちゃん「家族が見に来るから順子ちゃんは緊張しないの?」
良樹「順子がそんなもんで緊張すると思うのか?」
順子ちゃん「ううん、私だって上手くいかなかったらどうしようって気持ちはあるわよ」
苗「へえ~意外ね~」
おそらく順子ちゃんの緊張は自分が活躍しているところを両親に見せられなくてご褒美が貰えなくなる不安だろう。
大気「まあ、俺も緊張していてちょっとお腹が痛いぜ」
一応順子ちゃんも緊張していることだろがクラスみんなも緊張気味であり
練習したからと言って本番で上手くいくとは限らないし練習とは違う空気感に押しつぶされて本来の実力が発揮できないかもしれない。
勇「とりあえずみんな気楽にやろう!」
みんなの緊張をほぐすように勇は気楽にやろうと言う。
気楽にやろうと言うのもごもっともであり1年生は初めての運動会なので周りから変な期待はされないだろうし
失敗したり転んだりして恥ずかしいところ見せてしまってもきっと温かい目で見守ってくれるはずだ。
この緊張感もやるにつれて落ち着いていきそのうち慣れてくるだろう。
「たったっらったー♪」
勇「うん??」
勇は突然流れたファンファーレに困惑し空気は一変する。
みんな勇に視線が集中し苦笑いする。
気楽にやろうと意味はこのファンファーレなのか、それとも勇が呼び起こしたものか本当に本番は何が起きるかわからない。
もしかすると勇が運動会で大きな活躍を見せるかもしれない。
音声テストなのだろうか学校内に設置されたスピーカーからファンファーレのような音楽が聴こえる。
盛大なトランペットの音が校内を駆け巡る。
音声は異常無しであり運動会を彩るBGMも準備万端のようである。
まさにこのファンファーレが運動会の始まりを予感させる。
清水先生「みなさんおはようございます!」
清水先生「時間ですのでグラウンドの方へ集まってください」
1年3組のみんな「はい!」
教室に清水先生がやってきて1年3組全員を並ばせグラウンドへ集合するのであった。



グラウンドを見渡すとパイプテントがいくつか建てられており
生徒の保護者たちがキャンプシートを敷いて端の方で集まって待機している。
学校に親が介入することもあり例を挙げるとすれば授業参観があるが
運動会では学力ではなく自分の子の身体能力が競技によって図らずも他の子と見比べられてしまう。
運動が得意な子もいれば苦手な子もいる。
運動が苦手な子についてもその親はあらかじめ理解しているかもしれないが
同じ境遇の子もいるはずなので苦手具合すらも比べられてしまうことも考えられる。
きっと1年生の不安と緊張はここからきているのだろう。
勇は気楽にいこうと言っていたがグラウンドの様子を見て余裕がなくなった。
勇も運動が苦手な一人なのだ。
1年生ならではの緊張感が一方で6年生にとっても違う緊張感がある。
グラウンドの右端、学校の駐車場側の方に色とりどりのペーパーフラワーが飾られていたアーチが設置されていて
これが所謂生徒たちが潜る入場門なのである。
入場門の付近に生徒たちが集まり、そして6年生たちは互いに顔を合わせ
今回の運動会対する思いをぶつけ合う。
豪「よう幸助、お前が3組チームのリーダーやるってな」
豪「昨日、板倉先生に言われたんだ幸助がリーダーやるって」
幸助「え?昨日!?もう知ってたと思ってたぞ!」
板倉先生は自分の担任の生徒の豪に運動会の本番の前日まで幸助のことを伝えたなかったようだ。
幸助は事前に自分のクラスだけにはリーダーをやることを伝えたが
幸助の親友の薫やクラスメイトは他のクラスにそれを明かさなかったということでもある。
1組も2組も幸助がリーダーをやることを知らなかったのである。
意外性はあるがあまり他のチームは反応は普通であった。
大吾「作戦ということだろうが、幸助がリーダーやろうが変わらない」
幸助「それ軽く俺のことディスってるような感じだな…」
大吾の言葉には幸助の胸にチクッと刺すようながあった。
同時に板倉先生に薫のリーダーの器を超えられないと言われたことが頭の中に反芻する。
薫「落ち込むなって幸助~」
幸助「別に落ち込んでねえし!」
大吾「言い過ぎたか幸助?」
幸助「いや!全然だし!大丈夫だし!」
大吾は自分が放った一言が幸助を傷つけしまったのかと気にしているようだ。
そんなつもりで大吾は言ったのではなく運動会に対する思いはみんな一緒であって
相手のチームの誰がリーダーをやろうとも1組チームが勝つということなのだ。
大吾「薫がリーダーをやろうとも幸助がリーダーやろうとも勝つのは俺たち1組チームだと俺は言っている」
幸助「最初からそう言えばいいじゃん!」
哲也「大吾は言葉足らずなとこあるからな~」
豪は幸助と薫のほうに詰め寄る。
豪「ドッチボール大会の借りは返してもらうぜ!」
ドッチボール大会で2組チームは3組チームに敗北してしまったため雪辱を果たしたいのだろう。
さらに豪は大吾にも詰め寄り優勝宣言する。
豪「優勝は頂くぜ!大吾!」
大吾「ずいぶん威勢がいいな豪!」
いがみ合う二人の姿はまるで龍と虎のようだ。
この二人がそれぞれのチームのリーダーなのだろうか、二人の気迫は上に立つ者の風格だ。
幸助「何…優勝するのは俺たち3組だし…」
対して幸助は二人の気迫に気圧されてしまう。
優勝できなければご褒美なしになってしまうので幸助もそして3組チームも負けられないはずだ。
悪名ではあるが金閣という称号を持っている幸助は龍と虎に立ち向かうことができるのか
銀閣こと薫の力も必要か、金閣と銀閣が3組チームの要のとなるか期待したいところだ。
1組チームのカラーは青で、2組チームのカラーは黄色であり
1組チームは青いはちまきと2組チームは黄色のはちまきを身に付けているが
大吾と豪が放つオーラの色はそのはちまきの色と相当するようで
龍対虎をイメージするに相応しい。
対して3組チームのカラーはピンクだ。
金閣と銀閣が放つオーラとして似合わず、金と銀のオーラを出したいがこうなったら優勝の金でも取るしかない。
景子「相変わらず暑苦しいわねあの二人」
沙織「それが取り柄ってもんなのよ」
豪と大吾の様子を見てそう言う3組の景子と2組の沙織。
葵「でも負けらないのは私たちも同じだしどっちも同じよ」
そして1組の葵、女子陣も男子陣と同じく運動会に対して負けられない思いがある。
役者は揃ってきたが忘れてはいけないのが一人いる。
それは桂里奈である。
たった今、桂里奈も生徒たちが集まる入場門前にやってきた。
晴香「待ってたわよ桂里奈!」
桂里奈「みんな、おはよう!」
彼女も当然主役であり、この日のためにコンディションはばっちりでありこの運動会で存分に発揮してくれるはずだ。
桂里奈が来ると6年生たちが彼女の方に集まってくる。
順子ちゃんと友ちゃんも桂里奈の方に近づくが6年生生徒たちが桂里奈を囲んで楽しそうに会話している。
順子ちゃん「桂里奈お姉ちゃん…」
友ちゃん「声掛けられそうにないね…」
順子ちゃん「うん…」
桂里奈とクラスメイトの笑顔とその会話から見えない壁と越えられない壁があるように思えた。
改めて順子ちゃんと友ちゃんは1年生で桂里奈は6年生だと気づかされた。
すると桂里奈は順子ちゃんと友ちゃんの存在に気づき手を振って声を掛ける。
桂里奈「順子ちゃん!友ちゃん!」
順子ちゃんと友ちゃん「桂里奈お姉ちゃん!」
順子ちゃんと友ちゃんは桂里奈は呼ばれて輪の中に入って行った。
しかし話の中心は順子ちゃんと友ちゃんではなくもっぱら6年生中心であるが
時折順子ちゃんの話もあってやっぱり競技中に暴走しないか心配されることもあったが
会話ができるだけでも彼女にとっては幸せなものだ。
6年生たちとそして桂里奈と一緒にこの運動会に取り組んで精一杯頑張りたい。
3チーム全生徒が一斉に並びファンファーレがグラウンドに響き渡る。
全生徒は一斉に足並み揃えて行進しグラウンドの中央へと進んでいく。
そしてアナウンスが流れ生徒たちにエールが送られる。
腕を真っ直ぐ振り上げ胸を振って進む姿には緊張と期待と
行進する生徒たちの地面から舞う砂埃は今まで汗を流して練習を重ねてきた誇りが映し出される。
生徒全員がグラウンドの中央へそして朝礼台の前へと並び立つ。
ファンファーレが聴こえないなくなると同時に生徒たちは足を止めた。
いよいよ運動会の開会式が始まる。
朝礼台に井村校長が立つ。
選手宣誓は桂里奈である。
桂里奈の心の声(よし!)
桂里奈は井村校長の前に立ち選手宣誓をする。
運動会本番の日、桂里奈の選手宣誓からどのような展開が繰り広げられるのだろうか。
続く

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